バイクのカスタムは、愛車を自分好みに仕上げる楽しいプロセスですが、将来売却する際に買取額にどう影響するのか、気になりますよね。「カスタムすると損をする」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
この記事では、バイクのカスタムが買取額に与える影響を、具体的なパーツの種類や違法改造の注意点に触れながら詳しく解説します。さらに、カスタムバイクを少しでも高く売るための対策や、売却時の注意点についてもご紹介します。
この記事を読めば、カスタムと買取額の関係性を正しく理解し、後悔しないバイクライフを送るためのヒントが得られるはずです。
カスタムパーツは買取額にどう影響する?
結論から言うと、バイクのカスタムは、残念ながら必ずしも買取額アップに繋がるわけではありません。むしろ、ノーマル状態の方が高く評価されるケースが多いのが実情です。
その理由はいくつかあります。
- 買い手の好みの多様性: カスタムはあくまで個人の趣味嗜好を反映したものです。次にバイクを購入する人が、あなたのカスタムを気に入るとは限りません。多くの買い手は、自分の好みに合わせてカスタムしたい、あるいはノーマル状態で乗りたいと考えています。
- ノーマル状態への復元コスト: カスタムされたバイクをノーマル状態に戻すには、手間とコストがかかります。買取業者は、その復元にかかる費用を見込んで買取額を低く見積もる傾向があります。
- 違法改造のリスク: カスタムの中には、保安基準に適合しない「違法改造」に該当するものがあります。違法改造車は公道を走行できないため、買取業者にとっては大きなリスクとなり、買取を断られるか、大幅に減額されます。
- パーツの劣化や取り付け状態: 取り付け方法が適切でなかったり、使用しているカスタムパーツが劣化していたりする場合、バイク全体の評価を下げる要因となります。
ただし、全てのカスタムがマイナスになるわけではありません。一部のカスタムや、取り付け方によってはプラスに評価される可能性もあります。
買取額が下がりやすいカスタムパーツの例
一般的に、以下のカスタムパーツは買取額が下がりやすい傾向にあります。
- マフラー(特に爆音系): 音量が大きいものや、JMCA非対応のマフラーは違法改造とみなされる可能性が高く、大幅な減額や買取不可の原因になります。
- ハンドル(極端な形状): エイプハンドルやセパレートハンドルなど、ノーマルから大きくかけ離れた形状のハンドルは、乗り手の好みが分かれるためマイナス評価になりやすいです。
- 外装パーツ(大幅な変更): フルカウル化やシングルシート化など、外観を大きく変えるカスタムは、ノーマルに戻す手間がかかるため敬遠されがちです。
- 電装系パーツ(配線処理が不適切): LEDテープの取り付けなど、配線処理が雑な電装系カスタムは、ショートや故障の原因となるためマイナス評価になります。
- フレーム加工: フレームを切断したり溶接したりする加工は、バイクの根幹に関わるため、安全性の観点から大幅な減額や買取不可となります。
買取額が下がりにくい、またはプラスになる可能性のあるカスタムパーツの例
一方で、比較的買取額に影響を与えにくい、あるいはプラスに評価される可能性があるカスタムパーツもあります。
- ETC車載器: 高速道路を利用するライダーにとっては利便性が高く、プラスに評価されることがあります。
- USB電源/スマホホルダー: ツーリングでの需要が高く、実用的なカスタムとして評価されることがあります。
- エンジンガード/スライダー: 立ちごけなどの軽微なダメージから車体を守るパーツとして、状態が良い場合はプラス評価に繋がることもあります。
- 有名メーカーのボルトオンパーツ: バックステップやレバーなど、取り付けが比較的容易で、品質の高い有名メーカーのパーツは、状態が良ければプラス評価になる可能性もあります。ただし、ノーマルパーツがあることが前提です。
- 純正オプションパーツ: メーカーが販売している純正オプションパーツは、バイクとの適合性が高く、品質も保証されているため、プラス評価になりやすいです。
重要なのは、これらのパーツ単体で大幅なプラスになるというよりは、バイク全体のメンテナンス状態やノーマルパーツの有無と合わせて総合的に判断されるということです。
違法改造は絶対にNG!知っておくべき保安基準
カスタムを行う上で最も注意しなければならないのが「違法改造」です。違法改造されたバイクは車検に通らないだけでなく、公道を走行することもできません。知らず知らずのうちに違法改造になっていた、ということがないように、特に注意が必要な保安基準の一部を知っておきましょう。
- マフラー: 音量や排ガス規制に関する基準があります。JMCA認定品以外のマフラーは注意が必要です。
- 灯火類: ヘッドライトの色(白色のみ)、ウインカーの色(橙色のみ)、取り付け位置、点滅回数などに基準があります。テールランプの形状やブレーキランプの光量も重要です。
- ハンドル: 幅や高さに基準があります。極端に高い「アップハンドル」や低い「セパレートハンドル」は基準外となることがあります。
- タイヤ/ホイール: 車体からはみ出すものや、指定サイズから大きく外れるものはNGです。
- 構造変更: フレームやサスペンションなど、バイクの根幹に関わる部分の変更は、「構造変更申請」を行い、車検を取り直す必要があります。これを怠ると違法改造となります。
これらの基準はあくまで一部です。カスタムを行う際は、必ず最新の保安基準を確認し、専門知識のあるショップに相談することをおすすめします。
カスタムバイクを高く売るための対策
カスタムバイクでも、工夫次第で買取額をアップさせたり、納得のいく価格で売却したりすることが可能です。
- ノーマルパーツを保管しておく: カスタムする際に取り外したノーマルパーツは、必ず大切に保管しておきましょう。売却時にノーマル状態に戻せるようにしておくことで、買取業者の評価が上がりやすくなります。可能であれば、ノーマルパーツに戻してから査定に出すのがベストです。
- カスタム内容を正確に伝える: どのようなカスタムをしているのか、使用しているパーツのメーカーや品番などを正確に査定士に伝えましょう。有名メーカーのパーツや、取り付けが丁寧に行われている場合はプラス評価に繋がる可能性があります。カスタムにかかった費用や、そのカスタムによってバイクがどう良くなったのかを具体的に説明することも有効です。
- メンテナンスをしっかり行う: カスタムの有無に関わらず、日頃のメンテナンスは非常に重要です。定期的なオイル交換や清掃、消耗品の交換など、バイク全体を良い状態に保つことで、査定士に大切に乗られていたという印象を与え、プラス評価に繋がります。特にカスタム箇所周辺の清掃やメンテナンスは念入りに行いましょう。
- 複数の買取業者に査定を依頼する: 買取業者によって、カスタムバイクに対する評価は異なります。複数の業者に査定を依頼し、最も高い査定額を提示した業者を選ぶことが重要です。カスタムバイクの買取実績が豊富な業者を選ぶのも良いでしょう。
- 個人売買も検討する: フリマアプリやオークションサイトなどを利用した個人売買であれば、あなたのカスタムを気に入った買い手が見つかれば、買取業者よりも高く売却できる可能性があります。ただし、個人間のやり取りになるため、トラブルには注意が必要です。
売却時の注意点
カスタムバイクを売却する際には、以下の点にも注意しましょう。
- 違法改造は必ず元に戻す: 違法改造のままでは、多くの買取業者で買取を断られます。必ず合法な状態に戻してから査定に出しましょう。
- カスタムにかかった費用は回収できないと考える: カスタムにかかった費用がそのまま買取額に上乗せされることは、ほとんどありません。費用対効果を期待せず、あくまで自己満足のための投資と割り切る必要があります。
- カスタムパーツ単体で売却する: バイク本体をノーマルに戻して売却し、取り外したカスタムパーツを個別にオークションやフリマアプリで売却する方が、結果的に総額が高くなるケースもあります。
まとめ
バイクのカスタムは、買取額だけを考えるとマイナスになることが多いですが、それはカスタムの楽しみを否定するものではありません。カスタムは、バイクライフをより豊かにするための素晴らしい手段です。
将来的な売却も視野に入れるのであれば、ノーマルパーツを保管しておく、違法改造はしない、日頃のメンテナンスをしっかり行う、といった対策を講じることで、買取額への影響を最小限に抑えたり、納得のいく価格での売却を目指したりすることが可能です。
この記事が、あなたのバイクライフと賢い売却の参考になれば幸いです。