バイクを売却した後、名義変更手続きは必ず行わなければならない、とても重要なステップです。この手続きを怠ると、後々思わぬ税金の請求が来たり、万が一事故が起きた場合に責任を問われたりするリスクがあるため、しっかりと理解しておく必要があります。
特に、バイクの売却が初めての方や、周りに手続きについて聞ける人がいない方にとっては、「何を、どこで、どうすればいいの?」と不安に感じることも多いでしょう。
本記事では、バイク売却後の名義変更手続きについて、あなたのバイクの排気量に合わせて必要な書類や手続きの流れ、注意点を初心者の方にも分かりやすく詳しく解説します。この記事を読めば、名義変更手続きの全体像が掴め、安心して手続きを進められるようになりますよ。
バイク売却後の名義変更が必要な理由
バイクを売却した際に名義変更が必要な理由は、主に以下の2点です。
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所有者の責任を明確にするため: 名義変更を行わないと、売却したはずの旧所有者に税金が請求されることになります。また、新しい所有者が事故や違反を起こしてしまった場合、まだ名義が残っている旧所有者が責任を問われる可能性があります。
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法律上の義務だから: 道路運送車両法により、バイクを譲渡した場合は新しい所有者が15日以内に名義変更を行うことが義務付けられています。これを怠ると、50万円以下の罰金が科されることがあります。
これらのリスクを避けるためにも、名義変更は必ず行いましょう。
【重要】名義変更手続きは排気量で大きく違う!まずは自分のバイクを確認
バイクの名義変更手続きは、バイクの排気量によって手続きを行う場所や必要書類が大きく異なります。まずは、ご自身のバイクの排気量を確認しましょう。
- 原付バイク:〜125cc(原付一種:〜50cc、原付二種:50cc超〜125cc)
- 軽二輪:126cc〜250cc
- 小型二輪:251cc〜
手続き場所は、原付バイクは市区町村役場、軽二輪と小型二輪は運輸支局(または自動車検査登録事務所)となります。
次のセクションから、排気量別に詳しく解説していきます。
排気量別 名義変更手続きガイド
1. 原付バイク(〜125cc)の手続き
原付バイク(〜125cc)の名義変更は、新しい所有者の住民票がある市区町村の役場で行います。
手続きの流れ
原付バイクの場合、一般的に旧所有者が廃車手続きを行い、その後に新所有者が名義変更(新規登録)を行うという流れになります。
- 旧所有者が、バイクを登録していた市区町村役場で廃車手続きを行い、「廃車証明書」と「譲渡証明書」を受け取る。
- 旧所有者が、廃車証明書と譲渡証明書を新所有者に渡す。
- 新所有者が、住民票のある市区町村役場に必要書類を提出し、名義変更(新規登録)手続きを行う。
- 新しいナンバープレートと標識交付証明書が交付される。
※同じ市区町村内の人へ譲渡する場合など、自治体によっては旧所有者の廃車手続きと新所有者の名義変更手続きを同時に行える場合もあります。事前に役場に確認しましょう。
必要書類
手続きには、主に以下の書類が必要です。
- 旧所有者が用意するもの
- ナンバープレート:バイクから取り外して役場に返納します。
- 標識交付証明書:バイク登録時に交付された書類です。紛失した場合は役場で相談してください。
- 印鑑:認印で構いません。
- 身分証明書:運転免許証など。
- 廃車申告書:役場の窓口にあります。
- 譲渡証明書:役場の窓口で受け取るか、自治体のウェブサイトからダウンロードできる場合があります。旧所有者の署名・捺印が必要です。
- 新所有者が用意するもの
- 廃車証明書:旧所有者から受け取ります。
- 譲渡証明書:旧所有者から受け取ります。
- 住民票:発行から3ヶ月以内のもの。マイナンバー(個人番号)の記載がないものを用意しましょう。
- 印鑑:認印で構いません。
- 軽自動車税申告(報告)書 兼 標識交付申請書:役場の窓口にあります。
費用
原付バイクの名義変更手続き自体に手数料はかかりません。ただし、新しいナンバープレートの交付を受ける際に数百円程度の交付手数料がかかる場合があります(自治体によって異なります)。
2. 軽二輪(126cc〜250cc)の手続き
軽二輪(126cc〜250cc)の名義変更は、新しい所有者の住民票がある地域を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で行います。
手続きの流れ
軽二輪の場合、廃車手続き(一時抹消登録)は必須ではありません。一般的には、旧所有者から書類を受け取り、新所有者が運輸支局で名義変更手続きを行います。
- 旧所有者が、名義変更に必要な書類(軽自動車届出済証、譲渡証明書など)を準備し、新所有者に渡す。
- 新所有者が、旧所有者から受け取った書類と自分で用意した書類を持って、管轄の運輸支局で手続きを行う。
- 新しい軽自動車届出済証が交付される。管轄が変わる場合は新しいナンバープレートも交付される。
必要書類
手続きには、主に以下の書類が必要です。
- 旧所有者が用意するもの
- 軽自動車届出済証:バイク登録時に交付された書類です。紛失した場合は、旧所有者の管轄の運輸支局で再発行が必要です。
- 譲渡証明書:国土交通省のウェブサイトなどからダウンロードできます。旧所有者の氏名・住所を記入し、押印(認印で可)が必要です。
- ナンバープレート:新しい所有者の管轄の運輸支局と異なる場合は、バイクから取り外して新所有者に渡します。手続きの際に運輸支局に返納します。
- 新所有者が用意するもの
- 住民票:発行から3ヶ月以内のもの。マイナンバー(個人番号)の記載がないものを用意しましょう。
- 印鑑:認印で構いません。
- 軽自動車届出済証記入申請書:管轄が変わらない場合に運輸支局の窓口で入手します。新旧所有者の氏名・住所を記入し、新旧所有者の押印が必要です。
- 軽自動車届出書(新車両番号用):管轄が変わる場合に運輸支局の窓口で入手します。
- 軽自動車税申告書:運輸支局の窓口にあります。
- 手数料納付書:運輸支局の窓口にあります。
※旧所有者が手続きに行けない場合、新所有者が旧所有者の書類を持って手続きを行うことも可能ですが、その場合は旧所有者の委任状が必要になることがあります。事前に運輸支局に確認しましょう。委任状も国土交通省のウェブサイトなどからダウンロードできます。
費用
手続きにかかる主な費用は以下の通りです。
- 申請書類代:100円程度
- 住民票取得費用:200円〜300円程度
- ナンバープレート代:管轄が変わる場合に必要。500円〜600円程度。
3. 小型二輪(251cc〜)の手続き
小型二輪(251cc〜)の名義変更は、新しい所有者の住民票がある地域を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で行います。
手続きの流れ
小型二輪の場合も、廃車手続き(一時抹消登録)は必須ではありません。一般的には、旧所有者から書類を受け取り、新所有者が運輸支局で名義変更手続きを行います。
- 旧所有者が、名義変更に必要な書類(自動車検査証、譲渡証明書など)を準備し、新所有者に渡す。
- 新所有者が、旧所有者から受け取った書類と自分で用意した書類を持って、管轄の運輸支局で手続きを行う。
- 新しい自動車検査証が交付される。管轄が変わる場合は新しいナンバープレートも交付される。
必要書類
手続きには、主に以下の書類が必要です。
- 旧所有者が用意するもの
- 自動車検査証(車検証):有効期限内のものが必要です。紛失した場合は、旧所有者の管轄の運輸支局で再発行が必要です。
- 譲渡証明書:国土交通省のウェブサイトなどからダウンロードできます。旧所有者の氏名・住所を記入し、実印の押印が必要です。
- 印鑑証明書:発行から3ヶ月以内のもの。譲渡証明書に押した実印のものが必要です。
- ナンバープレート:新しい所有者の管轄の運輸支局と異なる場合は、バイクから取り外して新所有者に渡します。手続きの際に運輸支局に返納します。
- 新所有者が用意するもの
- 住民票:発行から3ヶ月以内のもの。マイナンバー(個人番号)の記載がないものを用意しましょう。
- 印鑑:認印で構いません。
- 申請書(OCRシート第1号様式):運輸支局の窓口で入手します。
- 手数料納付書:運輸支局の窓口で入手します。
- 軽自動車税申告書:運輸支局の窓口にあります。
※旧所有者が手続きに行けない場合、新所有者が旧所有者の書類を持って手続きを行うことも可能ですが、その場合は旧所有者の委任状が必要になります。事前に運輸支局に確認しましょう。委任状も国土交通省のウェブサイトなどからダウンロードできます。
※車検が切れているバイクの場合、名義変更手続きの前に車検を通す必要があります。
費用
手続きにかかる主な費用は以下の通りです。
- 申請書類代:100円程度
- 住民票取得費用:200円〜300円程度
- ナンバープレート代:管轄が変わる場合に必要。500円〜600円程度。
- 自動車検査証記入申請手数料:350円
売却方法による名義変更手続きの違い
バイクの売却方法によっても、名義変更の手続きの流れや、どちらが手続きを行うか(あるいは代行するか)が変わってきます。
- 個人売買の場合:売却する側(旧所有者)と購入する側(新所有者)の間で直接取引を行う場合です。
- 廃車渡し:旧所有者が事前に廃車手続きを完了させてからバイクを引き渡す方法です。新所有者は廃車証明書などを受け取り、新規登録の手続きを行います。税金や事故のトラブルを避けやすいため、売却側にとっては比較的安心な方法と言えます。
- 名義変更渡し:廃車手続きをせず、名義変更に必要な書類を新所有者に渡して、新所有者に名義変更手続きを行ってもらう方法です。手続きを新所有者に任せることになるため、確実に名義変更が行われたか確認する必要があります。
どちらの方法を取るか、またどちらが手続きを行うか(あるいは共同で行うか)は、当事者間の話し合いで決めますが、特に初心者の方は、手続きを確実に行うために、廃車渡しを選択するか、名義変更手続きが完了したことを確認してからバイクを引き渡すなどの対策を講じることが重要です。
- バイク買取業者に売却する場合:専門の買取業者にバイクを売却する場合です。
この場合、名義変更手続きは基本的に買取業者が代行してくれます。必要書類を買取業者に渡し、手続きを任せることができます。自分で手続きを行う手間が省けるため、初心者の方や手続きに不安がある方にとっては安心な方法と言えます。
名義変更手続きのその他の注意点
名義変更手続きには、いくつかの注意点があります。
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手続きのタイミング: 名義変更は、売却(譲渡)から15日以内に行う必要があります。遅れると罰金が科される可能性があるため、早めに手続きを行いましょう。
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書類不備のリスク: 必要書類に不備があると手続きが遅れたり、再度窓口に行く必要が出たりします。事前に必要書類をしっかり確認し、漏れがないように準備しましょう。特に、印鑑の押し間違いや、書類の有効期限切れに注意が必要です。
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名義変更後の手続きも忘れずに: バイク本体の名義変更が完了したら、以下の手続きも忘れずに行いましょう。
- 自賠責保険の名義変更(または解約・新規加入):自賠責保険はバイクにかかる保険ですが、名義変更を行うことで、万が一の事故の際にスムーズな手続きが可能になります。保険会社に連絡して手続き方法を確認しましょう。
- 任意保険の車両入替手続き:任意保険は契約者にかかる保険です。バイクを売却して別のバイクに乗り換える場合は、保険会社に連絡して車両入替の手続きが必要です。手続きを怠ると、新しいバイクで事故を起こしても保険が適用されない可能性があります。
- ETCの再セットアップ:ETC車載器を搭載している場合、名義変更後は再セットアップが必要です。
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ローン返済中のバイクについて:バイクのローンが残っている場合、所有権がローン会社や販売店になっていることがあります。この場合、名義変更を行うには、まずローンを完済して所有権を自分に移す必要があります。ローンが残っているバイクの売却を検討している場合は、事前にローン会社や販売店に相談しましょう。
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手続きを代行してもらうことも可能:ご自身で手続きを行うのが難しい場合、代理人に依頼したり、行政書士などの専門家やバイク買取業者に代行を依頼したりすることも可能です。代理人に依頼する場合は委任状が必要になります。代行には費用がかかりますが、手間や時間を省くことができます。
よくある質問(FAQ)
- Q1: 名義変更は代理で行うことはできますか?
- はい、名義変更は代理人に依頼することが可能です。その際、委任状と代理人の身分証明書が必要になります。委任状は運輸支局や市区町村役場のウェブサイト、または国土交通省のウェブサイトからダウンロードできる場合があります。
- Q2: 名義変更にかかる時間はどれくらいですか?
- 窓口での手続き自体は通常1時間以内に完了することが多いですが、窓口の混雑状況や書類に不備がある場合はさらに時間がかかることがあります。特に運輸支局は混み合うことが多いです。
- Q3: ナンバープレートは必ず変わりますか?
- 原付バイク(〜125cc)は、同じ市区町村内での譲渡など一部例外を除き、基本的に新しいナンバープレートになります。軽二輪(126cc〜250cc)と小型二輪(251cc〜)は、旧所有者と新所有者の住所を管轄する運輸支局が同じ場合は、ナンバープレートはそのままで名義変更が可能です。管轄が変わる場合は新しいナンバープレートになります。
- Q4: バイクを売却したのに税金の請求が来ました。なぜですか?
- 軽自動車税は、毎年4月1日時点のバイクの所有者に対して課税されます。もし3月中にバイクを売却しても、名義変更手続きが4月1日までに完了しなかった場合、旧所有者であるあなたに納税通知書が届いてしまいます。売買契約時に、その年度の税金をどちらが負担するか取り決めをしておくとトラブルを防げます。
まとめ
バイクの売却後には、名義変更手続きを必ず行う必要があります。適切な手続きを行うことで、税金や事故の責任といったトラブルを避けることができ、安心してバイクを売却することができます。
名義変更手続きは、バイクの排気量や売却方法によって流れや必要書類が異なります。この記事を参考に、ご自身のバイクに合った手続き方法を確認し、必要な書類を事前に準備して、スムーズに手続きを進めましょう。
もし手続きに不安がある場合は、代理人や専門家、バイク買取業者に代行を依頼することも検討してみてください。
バイクの売却を検討中の方は、この記事を参考にして正しい手続きを行い、気持ちよく次のステップに進んでください。